小林秀雄に学ぶ塾 同人誌『好﹡信﹡楽』

 『好信﹡楽』(こう・しん・らく) 紹介
 
  『好﹡信﹡楽』は、≪私塾レコダ l’ecoda≫の母体となった茂木健一郎さん主宰「小林秀雄に学ぶ鎌倉塾」のWeb同人雑誌です。池田雅延講師によって平成二九年(二〇一七)五月、月刊誌として創刊され、令和二年の秋から季刊誌となっていますが、最新号の令和六年冬号は第三九号です。

 小林秀雄先生の「本居宣長」第五章に、宣長の学問に対する基本的態度は早い頃から動かなかったとして、二十代の京都遊学時代のものと推定される友人宛の手紙が紹介されています。
 当時、学問といえば儒学でしたが、その儒学に熱心とは見えず、仏教に興味を寄せていると見えた宣長に、ある友人がとやかく言ってきたらしいのです。それに対して、宣長はこう返しました。
 ――僕が仏教の本を読むのは、これを好み、信じ、楽しんでいるのである、この好み、信じ、楽しむは、仏教の本にかぎらない、儒教や道教や諸氏百家の本も同じである。自分のこの「好信楽」という態度からすれば、歌舞音曲から山川草木に至るまで、天地の万物みな僕の「賞楽」の対象である……。
 宣長は、この「好信楽」の態度で「源氏物語」を読み、「古事記」を読んだのです。「小林秀雄に学ぶ鎌倉塾」の同人誌『好﹡信﹡楽』の誌名はここに拠っています。
 小林秀雄先生も、「好信楽」の人でした。文学、歴史、哲学、科学、音楽、絵画、骨董、登山、ゴルフ、酒、食、桜……、分け隔てすることなくこれらを好み、これらを信じ、これらを楽しんで生きられました。
 私たちも、本居宣長と小林先生に倣って生きようとするのです。まずは日々、小林先生の「本居宣長」に書かれている言葉を好み、これを信じ、これを楽しんでいます。